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おしきせ

おはようございます、さいとうです。

 「押し着せ」と書かれていた文章を読んで、打ち間違ったのかと読み飛ばし。いやまてよ、最近は「おしつけ」と「おしきせ」が融合し始めたのか。

 「おしつけ」と「おしきせ」と語音は似ている上に、他者から受け手の様子に関わらず事物を授受する構造もそっくり、ただ、漢字で書いてみると両者の違いは明白になります。「押し付け」と「お仕着せ」。

 「押し付け」は、読んで字のごとく、自分の考え方や仕事・課題、物や用件などを相手の状況や意見を考えずに一方的に受け渡したり、引き受けさせたりすることで、押し+付けるは、いかにも強引な様子を想起させます。

 では、「お仕着せ」とは何か。

 「お仕着せ」を考える上では、昔の日本の風習を理解する必要があります。

 現在のように、週休二日、土日休みのように週次で労働を考えるわけではないので、いわゆる小僧や女中、丁稚などの奉公人は毎日仕事があり、休みは年に2回、盆明けと正月開けに、里や実家に帰る暇をもらっていました。

 その際に、主人から小遣いとともに、新しい着物や履物をもらい、パリッとした装いで里帰りした、そのことを「お仕着せ」と言います。奉公人がその衣服を好みで選べる余地もなく、与えられたものをいただくのですから、押し付けられるような構図ではあったのでしょう。

 十年ほど前までは、、伝統を重んじる日本料理界には盆休みや年始休みに修行中の料理人が大将や女将から新しいシャツをいただく「お仕着せ」の風習も残していたと聞いたこともありましたが、しらばく耳にした記憶がありません。

 「お仕着せ」という言葉が、最近では、本人の意向や状況と関係なく第三者から与えらえたものやことを表すようになったのも、時代の流れなのでしょう。

 「押し付け」と「お仕着せ」は語源も異なり、両者に微妙なニュアンスの違いがあるように思うのです。例えば「押し付け」は押し側も受け側も好ましくないだろうと匂わせますが、「お仕着せ」は渡し側にも受け側のそこまで強い嫌悪感も無いように感じるのは、丁稚奉公なんて言葉をまだ頻繁に耳にすることがあった、昭和世代ならではの感覚なのかもしれません。

 「押し着せ」と書いてしまった心情も分からないではないと思ったのでした。

さ。

EMIRPs Today(2026-07-16)#2975 おしきせ

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