おはようございます、さいとうです。
その古い民家には、壁や梁のあちらこちらにヒートンが付いていました。ヒートン、そうネジ付きの小さなフックのような金具、変な名前です。
「ヒートン」は、ネジの頭の部分に物が引っ掛けられるようになっています。丸い輪っかになっているものや、環が開いているもの、L字型になっているものなどがあります。丸環の閉じたものが代表格でしょう、それだけ「丸環」と呼ばれたりしますが、まあ、総じて「ヒートン」。
壁にカレンダーや額を掛けたり、ちょっとした紐を垂らしたり、ケーブル類を一定のルートに束ねて通したい時に使う、あの金具のことです。
初めて「ヒートン」を耳にしたたのは、生家の改築をしていた時ですのでまだ就学前でした。作業着を着た厳つい大人たちが、なぜ、仕事をしながら漫画やアニメの登場人物のような名前を口にしているのか不思議でした。
そのコミカルな名前は、すぐに覚えました。大人になっても、DIYの店に行くと「ひいとん」ではなく「ヒートン」と片仮名表記されているので、てっきり外来語だと思っていたのですが、実は語源がはっきりとしないそう。
登山で使われる金物道具のフランス語のピトン(piton)やドイツ語のハーケン(haken)が元だろうという説もありますが、家屋などで使うこの便利な小金具を指す「ヒートン」は、どうやら日本の言葉のようです。
何世紀も前にポルトガルからやってきた、天ぷら、カステラ、ばってらなどの今やすっかり日本語文化に溶け込んでいる異国由来の言葉と似ているのかもしれません。「ヒートン」という語感が、口に優しい上に明るい調べを奏でるので日本語文化として受入れ易かったのでしょう。
それにしても、ヒートンは取り付ける時は一つずつですから良いものの、古い家屋では引っ掛け好きな住人が長年に渡り取り付け続けたのでしょう、あっちにもこっちにも、こんな場所にもと潜んでいます。見つけるたびに取り外していると次第に手がだるくってきました。四葉のクローバーのように見つけたら幸運をもたらすぞと、頭を切り替えてみました。
「ヒートン、ヒートン」、声に出して探していたら少し楽しくなりました。
さ。
EMIRPs Today(2026-05-08)#2926 ヒートン、ヒートン
