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カテゴリー: EMIRPs TODAY

  • 安房国の幸

    安房国の幸

     立派な干物をいただきました、アジが4枚とサバが2枚もありました。房総の南端で冬の良く晴れた日にだけ営まれるという干物屋のものらしい。

     自宅でお魚を焼くことはない。「ない」と断言するのは語弊があるかもしれませんがめったに焼かないことはたしかです。焼魚を嫌っているわけではなく、むしろ食すのは好きなのですが、食事のあとに家に漂う匂いが気になってしまい、あるときから「焼魚は外で」と割り切ってしまいました。

     キッチンは調理台クックトップも組み込みのオーブンも電化しており、魚専用のグリルはありませんし、パンを焼くトースターもポップアップ式のものですから前開きのトースターで干物をちょこっと炙ったり焼いたりもできません。

     焼き臭が気になるなら、カセットコンロや七輪を持ち出してテラスで焼く手もあるのでしょうが、自分が気になる匂いを近所に漂わせるのは気が引けますし焼魚の禁断症状があるわけでも、そこまで執着しているわけでもないのです。

     そんな割り切りとは裏腹に、食いしん坊は目の前に立派な干物をぶら下げられると、もぞもぞと落ち着かないのでした。触ってみると、天日で何日も干されたというよりも一夜干しに近いよう、身がほんのりと柔らかい。

     さあ、いざ焼くぞ。

     ガスコンロや炭火七輪を使わずとも、焼魚グリルがなくても、フライパンとクッキングシートがあれば即席グリルになります。「川は皮から海のものは身から」うろ覚えの呪文を唱えながらそっとフライパンに載せて焼き始めました。もちろん換気扇は最強でこれでもかと唸り、掃き出し窓も少し開けました。

     しばらくすると開きの両縁、腹のあたりから脂分が滲みでてきました、ぶくぶくと焼け始めの合図です。まだ我慢だ、もうしばらく焼きます。やがて芳ばしい香りが立ち上ってきました。そっと焼き面を覗き込む、絶妙のきつね色だ。

     これは上手くいきそうだ、裏返して皮も焼きました。

    さ。

    ※雑感
     焼魚は美味しいですね。DNAに組み込まれた食の記憶を刺激されているように感じます。鮮度の良い魚を火で焼くという原始的かつ根源的な食のあり方は、材料を揃えたり、レシピを見ながら軽量して、時間を計って調理したりという型に嵌った現代的な食との向き合い方とは、対極にあるのでしょう。
     もちろん、お魚の品質や鮮度も良かったのだろうし、めったに現れない希少な干物屋の技術や手腕も秀でているのであろうことが、その食の記憶の呼び鈴を強く押したことは間違いありません。
     安房国の豊かな海の幸、汐風の香りを堪能した休日でした。

    EMIRPs Today(2025-02-12)#2629 安房国の幸

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