おはようございます、さいとうです。
通勤時間帯とはいえ、混みあう電車はやはり雨のせいなのかもしれない。昨夕は、そんなことを考えながらぎゅうと押されて乗車しました。
電車が走り出して間もなく、となりの制服姿の少女が左右の肩を揺すり隙間を作りました。手に提げていた鞄を身体の前に持ってきたよう、手を突っ込みがさごそ。気分でも悪いのか、水かハンカチが要るのか、なかなか見つからないようで背中を丸めて奥深くに腕を突っ込んでいます。
次の駅でさらに人が乗り込み少女の作った空間がが狭くなってしまいました。おもむろに肩を揺すり、再度、探し物が始まりました。先の駅で降りなかったし、これだけ動けているので気分が悪いわけではないよう。さっきまで、心配そうに見ていたワイシャツの男性も、真後ろで少し眉をひそめた女性も関心をなくしたようでした。
ターミナル駅に着くころ、少女が何かを引っ張り出しました。真横にいたので形は見えませんが、シャカシャカとした音で無事に取り出せたと分かりました。乗客が降りて少女も見失いました。安堵したところへ、ざあっと人が乗り込んできて、今度は少女と横並びになりました。
彼女が手にしていたのは、マーガリンを塗った菓子パンでした。電車が動き出すと、左手のパンを齧りながら右手のスマホでマンガを読み始めました。このために満員電車であの動きか、傍若無人というか神経が太いというか、迷惑だとは感じないのかと思いが至ったところで違う考えが浮かびました。
新幹線や特急の長距離電車を除けば、列車の中で物を食べることは良くないと教えられた覚えがありますが、この世代はどうなのだろう。常識を知らないとか、マナーがなってないと簡単に言えるのだろうか。
街では大人も歩き食べ、スマホ片手にぶつかりそうになることもしばしば、カフェやレストランではスマホを見ながら食事をしているおひとり様の大人で溢れかえっています。たまたま混雑した電車の中であっただけで、少女にとっては、ごく普通の風景であり行為なのではないだろか。
電車が急減速して止まりました、停止信号の案内が流されました。もちろん両手が塞がっている少女は、ぐらりとこちらに体重を預けて傾いてきたのでした。吊り革を持つ手に力をこめて堪えました。少女がこちらを見上げて、ごめんなさいと無言で口を動かし、頭を下げてきました。
そうか、常識がないわけでも、マナーがなっていないわけでもないようだ。きっと価値観が違うだけなのだろう。
秩序を重んじすぎたり、過剰と思えるルールで縛ったり、何かと硬く歪な殻をもつ現代社会。その殻を掻い潜り暗躍する狡猾な輩も後を絶たない。
新しい価値観とこれくらいの図太さは、凝り固まった殻をも破るだろう、夢のある社会を作る上では必要なのかもしれない、と思ったのでした。
さ。
※雑感
価値観の違いは尊重したいものだと常々思います。凝り固まってしまい、大きな慣性力で回り続けている社会を変えるには、異なった価値観を投入して構造を見直す必要があると思うからです。慣性でいうならば少し重心を偏らせて変動を与えるよう。それはそれとして、鉄道会社は混雑した車内での飲食は控えるよに呼び掛けていますから、少女よ、ほどほどに。
EMIRPs Today(2025-10-02)#2786 殻を破るのは価値観
