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堂平山、空

 雲一つない青空が広がりました、ほんのり淡く、遠くまで抜けている。冬のものでも、夏のものでもない、初夏ならではの優しい色。

 埼玉県の山間に堂平山(どうだいらさん)という天文台の載る山があります。登山や天体観測に親しむ人には良く知られているようで、頂には観測ドームが鎮座しています。都心から近くて、てっぺんまで道路が通じていて、界隈を見渡すことができる条件が揃っており、いつか行ってみようと思っていました。

 地図を見ると堂平は西の秩父、南の飯能、北の寄居花園、東の小川町、どこからも適度に距離がある、天文台が立地するだけあり山塊の中ほど。電車で近くまで寄るにしても秩父線の吾野駅や八高線の明覚駅など本数も少ない線です。それならばと荒川を遡上して長瀞(ながとろ)から回り込むことにしました。

 川に沿って辿る道程は起伏が穏やかです。まだ菜の花が残る土手や田植を控え水が張られた田んぼを眺めながら、のんびりと詰めていきます。突然、バサッと渡る野生のキジに目を見開いたり、渓谷の新緑肌に滲みだすヤマフジにうっとりしたり、遠そうだと思った距離も意外と近いものでした。

 さて、長瀞を抜けて秩父に着くころにはすっかり山に囲まれました。いよいよ堂平山に向けて山道が始まりました、12キロほどかけて標高900メートル近くまで上がるのですから力配分は大切、じわじわと上ります。アニメ「頭文字D」で有名になった定峰峠(さだみね)を、そこから下ることなくさらに上りが続いて白石峠を越えて、木々に囲まれた薄暗い坂道を進み続けました。

 観光道路やドライブ目的に整備されたスカイラインのように眺望が開ける展開は期待できません、鬱蒼とした道をひたひた、くねくねと上っていきました。後ろに引っ張られるほど激坂ではないものの、同じような景色が延々と続き、次第に視覚は飽きてきました。鳥の声に聞き耳を立てたり、「てんもんだい、てんもんだい」と言い聞かせたりしながら脚を回し続けました。

 ふと、あたりが明るくなってきました。頂が近くなった証しです、あと2キロとありました。最後は頭部を巻くように回り込み、堂平天文台がありました。脇の駐車場を抜けると頂上の標が立っていました。「堂平山876メートル」。

 右も左も、前も後ろも、空、空、空、360度ビュー。最高のご褒美でした。

さ。

※堂平山天文台 ホームページ
https://www.town.tokigawa.lg.jp/info/27

※雑感
 この山の界隈には有名な峠や九十九折、林道などが多くあり、バイクや自転車でツーリングする人も多い。奥武蔵グリーンラインと呼ばれる、峠をつないだルートや彩の国ふれあい牧場などもあり、家族連れやグループがドライブしたりトレッキングしたりしている姿も見かけます。
 帰りは、飯能駅から自由が丘駅まで電車で戻ってきました。1時間半足らずであっという間でした。

EMIRPs Today(2025-04-30)#2681 堂平山、空

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