EMIRPs Today(2023-02-22)#2148 博士が活躍する場

おはようございます、さいとうです。

科学技術の発展やそのイノベーションが、未来を拓く鍵の一つであるとの理解を持つ人は多いでしょう。専門性を高く究めた人材の厚みを増すことが大切。

政府は「科学技術・イノベーション基本計画」を企てて重点を置き、同第6期計画では「博士後期課程学生の処遇向上とキャリアパスの拡大」を掲げます。

そこで今年度、各府省における博士号取得者の活用実態を調べ公表しました。「各府省等における博士号取得者の活用に関する検討に向けた調査」と呼び、今回が初めての取り組みだと言います。2022年4月1日時点の調査です。

同調査によると府省等における博士号取得者の状況は、つぎのようでした。
・府省等に在籍する博士号取得者の総数は、2,274人。
・同博士号取得者の2/3は、入省以前に博士号を取得。
・職種別には、研究職43.3%、行政職27.0%、教育職20.2%。

府省別にみるとバラツキがありました。多い府省から順に並べると次の通り。防衛省と厚生労働省が約600人前後を擁し、国土交通省に400人弱が在籍し、環境省、文部科学省、農林水産省に100名余りで続きます。

●府省名称 博士号取得者(常勤職員数、構成比)
防衛省  621人(20,524人、3.0%)
厚生労働省 596人(32,219人、1.8%)
国土交通省 368人(56,073人、0.7%)
環境省  126人(2,946人、4.3%)
文部科学省 117人(2,115人、5.5%)
農林水産省 113人(18,641人、0.6%)
出所)各府省等における博士号取得者の活用に関する検討に向けた調査

意外に感じたのは、経済産業省(71人、0.9%)やデジタル庁(1人、0.3%)には博士号取得者が少なく、警察庁(78人、0.9%)や外務省(69人、1.1%)では、経済産業省と並ぶ人数および構成比であったことです。

同調査によると、博士号取得者に関する採用方針を有する府省等は、次の8府省に留まり、採用方針は主に研究職系とありました。
宮内庁、公正取引委員会、警察庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省

令和に入って早々、JISを日本工業規格から日本産業規格へと名称変更し、データや情報などの扱いへと拡張したことは記憶に新しい。科学技術の発展やイノベーションが従来からある分野や区分を越えることは珍しくない時代。

2023年度からは各省庁等における博士号取得者数の調査を開始するという。イノベーションには省庁を股にかけて活躍する場や運用の実現が重要だろう。

さ。

※以下を参考にしました。
各府省等における博士号取得者の活用に関する検討に向けた調査結果の公表について
内閣府/令和5年1月27日
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20230127doctor.html
各府省等における博士号取得者の活用に関する検討に向けた調査結果概要(令和4年度実施)
内閣官房 内閣人事局、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局、文部科学省 高等教育局
https://www8.cao.go.jp/cstp/package/doctor_kekka.pdf