EMIRPs Today(2023-02-28)#2133-2151 2023年2月配信分

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頽れる。とある小説にて主人公の情景が描写されていました。

くずおれる、と読み、崩れ落ちるとか、へたり込むという意味です。日常生活ではあまり使わない言葉ですし、漢字も難しい。

この漢字を分解すると「禾」が「几」に乗っかり「頁」が並びます。「几」が机を意味し、「禾」は稲や粟の穂が垂れた様子を、「頁」はひざまずく人の頭を象る。つまりは、頭を机の上にうな垂れた様子を表す字で、その意味は崩れ落ちるやへたり込むとなるわけです。

この「頽」は古事記の序文にも登場すると言う古い文字です。

象形で成り立つ文字は簡単なものから複雑なものまでありますが、総じて絵画的であり、視覚的であり、直感に訴えってくるよう。人間の英知の深いところに源があり、文字の生命力を支えていると感じます。

日本では国字いわゆる和製漢字を創り新しい表しを実現し、さらに現代では、外来語が日常に数多も入り、専門用語由来やサブカルチャーや流行に端を発する言葉がつぎつぎに登場しています。日本語がもつ吸収力や適応力、その漲る生命力はとても強く、社会の活力や原動力の一つであると感じます。

一方、日本経済では、失われた三十年だとか、給与水準が後れをとるだとか、はたまた島国を揶揄してガラパゴスだとか、活力を削ぐようなフレーズが氾濫してきました。懸命な取り組みにさえもアンチな声が聞かれる日々。日本語は生命力が強いので、ネガティブな表現が蔓延するのは出来る限り避けたい。

次代を担う世代が頽れることなきよう、未来を拓く言葉を使いたいものです。

さ。

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