おはようございます、さいとうです。
成人式、共通テスト、鏡開きと、年初の風物詩が一気に過ぎた感があります。お餅で膨らんだお腹まわりも、いまは調整時期でしょうか。
さて、お餅は粒状の米を突き、お団子は米の粉を丸めて作られる。団子はもち米もうるち米も使われるるし、大福には粉状にしたもち米の求肥を加えて柔らかくしたりするから、結局、出来上がったものの形状で見てしまう。
高輪の高台にある豆大福の老舗はいつも行列でよく知られるが、尾根を下りた桜田通沿いにももう一軒、創業百年になるだんご屋がある。清正公前交差点、目黒通の起点となる側道にひっそりと佇んでいる。
いつか覗いてみようと思いつつも平日の昼間に三時間ほどの営業なので、なかなか暖簾に手が届かない。先日、ようやく足を運んでみた。だんごの店売りに加えて軽い食事もあるというのだから、昼ご飯がてら一挙両得を計ったのだ。
路地に面した腰高の棚には、大福と草餅、だんごが並べられていた。日陰だから菓子に優しいだろう、小振りの豆大福は百円だ、三ついただくことにした。断ち切りの硝子引き戸を開けると、甘い醤油の香りが漂ってきた。
よし、料理の準備も整っているようだ、「食事もできますか」、尋ねてみた。「もちろん、うちは食堂だ」、大福を包みながら白衣の主人の歯切れが良い。「そっちから入ってよ」、入口も引き戸になっていた。
管足の小さい卓に丸椅子、品書きは黒札に白文字、十枚ほどが壁に下がっている。丼もの、カレーライス、ラーメンの三種の大盛りや上ものが並ぶ、となりに空札を挟んで赤飯、いなり、だんごの札も並ぶ。親子丼と団子に決めた。
「だんごは甘いの、辛いのどっちにする、あっ今日は辛いのだけみたいだ」、甘いのは餡子で、辛いのはみたらしなのだろうなあ、「では、それで」。
さきに、だんごがひと串、丸皿に載せられてきた。正解だ、みたらしだった。おや、これはめずらしい、だんごは糸切りだった。
円柱状に切り分けられて串に刺さる、たれに良く絡み、食感も楽しい。
さ。
※雑感
昭和を感じる店構えに、昭和、平成、令和と生き抜いてきた主(あるじ)だ。気負わない風情にほっこりした昼休みになりました。糸切り団子は、彼岸や盆の時期にだけ供される店も残るのだが、日頃から作っている店は希少だろう。大久保だんごという商号を掲げる店は近所に三店舗ある。暖簾わけなのか、事情を知る由もないが、ここ白金高輪と恵比寿に向かう道沿いと目黒の不動前。跡継ぎはいるのだろうか。食堂の隅には分銅式の天秤ばかりが置かれていた。昔はあれで計ったが今は年に二回しか使わない、笑い声がカラカラと響いた。