EMIRPs Today(2021-09-03)#1798 すだち

おはようございます、さいとうです。

秋刀魚の塩焼きには、すだちをぎゅっと絞る。

秋刀魚は北海道や東北など北の方から届く一方で、すだちは西日本のもの。両者の出会いは、江戸か、京都か、初秋ならではの旬の組合せに、嗚呼礼賛。

先日、すだちの露地ものが店頭に並んでいました。最盛期に入ったばかりの実は濃い緑色を纏っていました。ピンポン玉よりも一回り小さい艶々のすだちがぎっしり箱に詰まっていて、びっくり価格。えっ、思わず手が伸びました。

すだちは、最近でこそ東京あたりにある普段使いの食料品スーパーでもレモンのように通年で見かけるようになりましたが、本来は夏から秋にかけて旬を迎える国産の柑橘です。すだちが店頭に並び始めると豊穣の秋の知らせです。

すだちと言えば徳島県という印象。実は学名にsudachiとつけらる徳島原産の国産柑橘で、実に生産量の98%を徳島県が占めます。徳島産のすだちは、ひと回り大きい大分特産のカボスとともに日本の香酸柑橘類の代表格でしょう。

最近、醤油や塩を控えることで、食材が引き立つのが楽しい。甘みや塩味、苦みや辛みや刺激だけでなく、土の匂いや草木の香り、その余韻と戯れる。そこに香酸柑橘を絞ると、精細な風景画のようにさらに風味が際立つのです。焼き魚や刺身のみならず、茸類にも、炒め物にも、鍋物にも合わせてみます。

さて、「徳島」と大書された箱をぶら提げて、足取りも軽く家に帰りました。蓋を開けて取り出すと、なんと三十個越えて数えました。たっぷり。

豊穣の秋が早くやってきたようです。

さ。

※雑感
すだちの語源は説がいくつかあるようです。「酢の橘(たちばな)」から、「酢橘(すだちばな)」、「すだち」となったよう。食材に「味付け」する調味料は多々ありますが、少量を投じることにより、素材がもつ個性や特徴、隠れた滋味を際立たせる香酸柑橘が好ましい。そんな存在でありたいと思うのです。