EMIRPs Today(2021-01-13)#1640 てっぽう


おはようございます、さいとうです。

「てっぽうにしますか」。
そろそろ締めにしようと「のり巻」を頼んだ時に、板さんに尋ねられました。

かんぴょうを芯にした細いのり巻きが好きです。甘く煮たかんぴょうと海苔の香りが調和する優しさ加減が締めにちょうど良いのですが、そこにはもう一つ「てっぽう」という選択肢もあります。

「てっぽう」は、わさびを仕込んだのり巻き「鉄砲巻」のことですが、江戸の食文化に根付く粋はつくづく面白い。最後に甘く柔らかく終えるか、わさびの香りでツンッと爽やかに仕上げるのか、その日の気分で楽しむのですから。

最近は目が飛び出るほどの高級寿司が人気で、「今年はもう予約でいっぱい」なんて店もあるほどです。この環境下で集客や経営が厳しい飲食業界にあっても、ゆったりした設えの空間で最小限のスタッフが限られた数人の客を接遇する寿司店は、ゆとりある層が密を避けられる数少ない場として足を運ぶよう。

さて、緊急事態宣言がふたたび始まり、外食を控える日々もまだしばらくは続きそう。週末にふとてっぽうを食べたくなり、自分で作ってみました。

干瓢を塩でもみ洗いしたあとに茹でて、柔らかくなったところで適当に砂糖と醤油で味を足し、ゆっくり冷まして味を馴染ませました。しばらくして片手鍋の蓋をとると半透明の飴色に仕上がっていました。

のり巻きにするなら長いままでも良いのですが今日は煮物でいただくことに。ちょんちょんちょんと5センチ程の長さに切り、そのまま小皿に載せました。初めての干瓢料理としてはまずまずでしょう。

箸先でつまんだ山葵を真ん中にのせて、そっと口に運びました。
舌先の甘さの奥をツンッと突き上げてくる。ああ、これこれ、てっぽうだ。

さ。

※雑感
緊急事態宣言が11都府県に拡大するとの報です。飲食業界への影響が心配。外食も、社会が育んできた食文化の大切な要素の一つだと思うのです。町の台所食堂、ビジネス街のランチ、学生の大きな胃袋、マダムの社交場等、社会や暮らしの潤滑油の役回りを担う飲食店は数多い。緊急事態宣言が鉄砲になってしまわないようにと願うばかり。