EMIRPs Today(2020-01-01)号外

あけましておめでとうございます

ん、あ、こんな食があるのか。友人が連れて行ってくれたお店の看板料理は、言葉では表せない感覚景色を見せてくれた。

ありがたいことに五十も半ばを数えた今でも、味や香りに関する好奇心は日々高まる一方だ。素材の個性や調理人のお見立てと戯れて、頬を緩めることが楽しい。

小さい頃から好みは肉をがっつくよりも野菜を食むことだ。誕生日近くに食べたいものを尋ねられても「漬物が良い」と返す可愛げのなさには、母もさぞ拍子抜けしたことだろう。

本を持つ手が遠くなったり、蚊の羽音が聞こえにくくなったりするように、ほんとうは味覚や嗅覚も次第に鈍くなってきているはずなのだが、初めての味や香り、その組み合わせの妙に出会うと、ときめきが全身を駆け抜けて上機嫌になるのだ。

まったく、なんと食い意地のはった男になったことだろう。せめて、体験や記憶の小さな欠片が幾層にも重なりあってこそ感じることのできる、そんな調べもあるのだと信じたい。

2020.1.1 さいとうかん