EMIRPs Today(2019-09-20)#1325 口角をあげてみたけど

おはようございます、さいとうです。

そのあたりは街灯が届かないせいか、時刻表の数字も良く見えません。スマホをかざしてバスの到着を確認すると、あと3,4分のようでした。

闇の中、地面近くで赤い光が上下しながら近づいてきました。隣にはぼんやりと人影が見えます。ああ、犬のお散歩をしているのかな、小型犬のよう。

「こ・ん・に・ち・は」、不意打ちをくらいました。幼子があいさつをしてくれました。薄暗い街灯にようやく照らされたのは、まだ、幼稚園に通う前のような小さい子供でした。

歩きながら、ゆっくりと首を回してぼくの顔を追いかけてきます。そうだ、「こんにちは」、あいさつを返しました、満面の笑みに変わりました。ところが、その笑顔が一瞬で曇ってしまいました。

ああ、薄暗い中で髭面の男が立っていたから、怖かったのかもしれない。子供に怖い記憶を植え付けるのは本望ではないぞ。まったく不慣れながら、精一杯に口角をあげて、世界で一番優しいおじさん風の笑みを作ってみました。

子供はぷんと顔を背けて母親を見上げました。あっ、しまった。ぼくの笑顔の下手さ加減といったら、まったく、初めて巻いた卵焼きみたいなものだから、変顔を通りこして不気味だったのか。なんだか、悪いことをしてしまった。

子供が立ち止まり、ふたたび頭を回してこっちを覗き上げてきました。おや、振り向いたその顔には先ほどの明るい笑みが戻っていました。「こ・ん・ば・ん・は」、少し高くて少し大きい声でした。

そっか、もう暗いのだから夜の挨拶が正しいと思って、言い直したのだね。遠い未来まで見通せそうな丸い目が二つ、じっとこちらを見つめていました。

「こん、ばん、は」、ゆっくりとあいさつを返しました。
今年一番の優しい声を出してみました。

さ。

※雑感
連休の月曜日は秋分の日、この週末はお彼岸になりますね。またまた、大型の台風が発生したとの天気予報。17号だそう。昨今の自然の脅威、ただただ穏やかに収まってくれることを願います。ぼくは、書斎で待つあれこれに、順番に手を付けようかなと思います。