EMIRPs Today(2019-11-11)#1357 悠々と奏でるサロン

おはようございます、さいとうです。

これはどう、旧知の方からお誘いいただいたのはクラシックのコンサート。仕事の段取りに手間取ってしまい、行きたいとお伝え出来たのが直前でした。

案内に記された住所は、自宅から歩いてもほんの数分のところのようでした。何度も通ったことがあるのですが演奏を聴くような場所は思い当たりません。

住宅街の路地にひっそりと会場がありました、並ぶ民家のひとつでした。小さい前庭を抜けると、そこにはグランド・ピアノが並ぶ部屋がありました。十数席の小さなサロン、先客は既にワインを飲みながら談笑されていました。

今夕の演奏会は、チェロとピアノのアンサンブルです。国内外で活躍されているドレス姿のお二人が、するりと入室されてきました。幾度目の方も聴きに来られているよう、親しみの笑みで迎えられていました。

歓迎の挨拶ののち、サロン会の目論見や予定する演目がご紹介されました。作曲家のあらましに続いて、曲が作られたときの作者の人生や交友関係、その頃の時代背景等を分かりやすく解き明かしていただきました。サロン部屋がまるっとその創作された時代にタイムトラベルに旅するようでした。

さて、サロン号は当時のどこかに着いたよう、最初の曲が始まりました。衣擦れも聴こえるほどの目と鼻の先で、二人の演奏が絡みました。チェロの弦の調べにのって、ピアノが作曲家の想いを語っているようでした。

ああ、室内楽は元来このように楽しみ育まれてきた文化なのだろうな。
遠い時代の異国の地に、想いを馳せた夜でした。

さ。

EMIRPs Today(2019-11-08)#1356 東京ナイトクルーズ

おはようございます、さいとうです。

今日は、立冬。
空が高くいっぱいに澄み渡る朝が、日に日に増えてきました。

冬が近づく東京湾を、小型プレジャーボートに乗ってナイトクルーズしよう。小型船舶の免許を持っているわけではないので、操船はおまかせです。「私が本日の運転手を務めます」、鯔背なあいさつに気分があがりました。

都心近くにマリーナはいつくもありますが、東京都心から最も近いものは、勝どきでしょう。大江戸線の駅からも歩いていけるマリーナは、中高層のマンションが立ち並ぶ住宅街の一画にありました。

道路側から前を通っただけでは町のカフェかなと思うような店構えですが、コーヒー客を横目にカウンター沿いを奥に進むと、運河が現れました。

風速が11メートルあったが今は治まったこと、風は南から吹いているので湾口に向かう往路は少し揺れる見込みだが、帰路は追い風になるので快適であろうことを教えてもらいました。風速11メートルですから、時速に換算すると約40キロということ、原付バイクを追い越す風だ。

大手町界隈を車で通ると高層ビルが両側に迫り来ていわゆる都会を感じますが東京湾に抜けるまでの運河では、ビル群の攻撃的なギラギラ白明りではなく暖かい黄色が灯されたマンションの居間が積み並んでいました。もう、団欒が始まる時刻だろうか、運河特有の穏やかな水面をつるつると進みました。

解体の進む築地を越えると、360度のどちらの方角にも視界が広がりました。あれは日本橋のあたりか、こっちは汐留、新橋、東京タワーも見えている。レインボーブリッジが夜空に滑走路を描き、お台場が宇宙船のように浮かぶ。

水面からほんの数十センチのところに据える低い目線は、小型艇の独壇場。夜の海が視界の手前にあるものをすべて漆黒に塗りつぶしてくれているので、都会の煌めきをより一層、際立たせるのかもしれない。

ああ、海から眺望する東京の夜景はなんて美しいのだろう。

「来月は、あの辺りで花火を観られます」。
そうなのか、夜景と花火を一緒に楽しめるなんて。
大気が澄み渡る季節の東京ナイトクルーズ。魅力は計り知れません。

さ。

EMIRPs Today(2019-11-07)#1355 35年前からドイツワイン

おはようございます、さいとうです。

「朝から、14本のワインを開けてデキャンタしました」。
35年にわたりドイツ・ワインに特化した輸入を手掛けている当主の挨拶でした。

子供の頃、お土産でいただいた変わったガラス瓶のお酒がありました。前から見るとぷっくりと丸いのに、前後に平たい不思議な形をしていました。「ドイツのお酒だそう」と母から教えてもらいました。下戸の彼女にとり、洋酒はウイスキーも、ブランデーも、ワインでもお酒だったのでしょう。

それが葡萄酒でドイツの南の方で造られたものだと知ったのは、随分と経ってからだったように思います。同じころに子供用にといただいたお土産は、筆箱に入る小さな鉛筆削りで、丁寧に包装された替え刃が数枚ついていました。ミュンヘン・オリンピックの話をしたので、1972年前後かもしれません。

大人になってワインを飲むようになってからも、ドイツ産のワインを口にする機会は少なく、ちょっと壁がありました。細長いボトルに詰められたリースリングは葡萄の香りが好みですが、レストランにもあまり見かけませんでした。

ある時、当主が見立てたドイツワインを飲ませてもらいました。和食とドイツワインはよく合うのですと事前に当主からお聞きしていました。一皿一皿、料理とともに供される白も、赤も、絶妙のマリアージュでした。すごいなあ。ドイツワインに対する壁が崩れました。

さて、デキャンタするほど寝かせたワインですから、数十年のビンテージ。「しっかりと味も診て、オリもありませんので、安心してご堪能ください」ドイツワイン発展への貢献を評価され叙勲された程の当主、自信が溢れます。

グラスを持ち上げて色加減を愛でてから、ゆっくりと口に含みました。
数十年の栄華や歴史がぎゅぅと凝縮された、奥深い葡萄酒でした。

さ。

※雑感
35年前というと1980年代も半ばのこと。プラザ合意が1985年です。ベルリンにはまだ壁があり、インターネットもなければ、スマホもない頃。アップル社がマッキントッシュを発売したころです。その頃から上質なドイツワインにこだわって目利きをし、輸入してこられた当主の情熱には脱帽します。敬服。

※ドイツワインの変わった形のボトル
ドイツ・フランケン地方のボトルの特徴的な形でボックスボイテルと言う。

EMIRPs Today(2019-10-31)#1331-1351 2019年10月配信分

EMIRPs Todayに毎朝おつき合いをいただき、誠にありがとうございます。

#今朝、首里城が燃えているとの報を聞き胸が痛みます。
#早く治まり、再建されることを願うばかりです。

昨日、とあるサービスが開始されました。祝。

嗚呼、おめでたい。
隣駅までちょこっと足を伸ばして、鯛を31匹ほど釣り上げました。

出向いたのは、麻布十番にある有名な鯛焼き屋さんです。
すでに十匹ずつを箱に納められて包装紙で包まれていました。

「おめでとうございます」、箱をあけてみんなで食べました。

釣りあげたばかりの鯛たちは、お腹のあたりからじんわりと温かい。
甘すぎず塩が効いた餡子に薄い皮を纏った鯛を、夢中に頬張りました。

「およげたいやきくん」って、いつのことだっけ?1975年のことのよう。
そんなこと知らなくても、笑顔を誘う魔法の一匹。

さ。

20191001 1331 コーヒーは何パーセント
20191002 1332 飛散は低く、雲は高く
20191003 1333 名残りの露草
20191004 1334 法案一つ4.5日

20191007 1335 東京最大の牧場ジェラート
20191008 1336 初冬を選ぶ想い
20191009 1337 スマートな国際会議
20191010 1338 未だに「体育の日」
20191011 1339 曼殊沙華

20191015 1340 棚は空っぽ
20191016 1341 次代の動物園って
20191017 1342 楕円球の訪日効能
20191018 1343 プロ野球の指名と使命

20191021 1344 恩赦が映すもの

20191023 1345 永く続くことを思う
20191024 1346 渋谷区、仮装群に挑む
20191025 1347 ダイヤはどこに

20191028 1348 横浜市電保存館
20191029 1349 プチ・モビリティ
20191030 1350 ブログも国会図書館
20191031 1351 オリジンとなる国

 

EMIRPs Today(2019-10-28)#1348 横浜市電保存館

おはようございます、さいとうです。

前を通るたびに何だろうと気になっていた「横浜市電保存館」。路面電車ではなく市電、博物館でもなく保存館、しかも大通側に入口はない。

朝活ポタリングの帰路に、ちょうど開館時間を過ぎた頃合いだったので、立寄ってみることにしました。国道16号、磯子にある掘割川沿いにあります。入口は反対側と示された案内に従い一区画分をぐるっと周りこみました。

入館料をは大人300円。「お一人ですか」、係の女性に尋ねられます。「ええ」、どう見ても一人だがと思いながらも返事をしたのですが、周りをみると来館客は小さな子供連れの家族ばかりでした。

細長い建物には何両もの市電が横に並んでいました。路面電車ですから一両編成です、路線バスよりも一回り小さいくらいの大きさでしょう。少し丸くて、窓枠とか、案内看板とか、昨今の工業デザインでは考えられないような車体の表面がデコボコしているのがなんともノスタルジックです。

いざ、車内に上がってみると20世紀初頭に設計された大きさだと実感します。全体にかなりコンパクトに造られていることがわかります。運転席もカフェのカウンターほどしかないくらいで、体格のよい運転手はさぞ困られただろうなあと思うほどの空間でした。

世代順に乗り込んで時代の設計を知り、また、外から眺めて少しずつ意匠が変わる様子を楽しみました。鉄道模型OゲージやHOゲージのコレクションも展示され、ジオラマを組まれたレイアウトでは子供たちが電車を走らせていました。

足元をみてびっくり、レールの間隔が広いのです。路面電車の小さな車両なのでてっきりJRや多くの私鉄で採用されている1,067mm軌間だと思っていたのですが、横浜市電の線路幅は1,372mmを採用していたそう。

市街地を、とことこと走る路面電車が好きです。日本国内には、広島や松山等で現在でも20近くの路面電車があるそう。一番最近乗ったのは、熊本でした。ぼちぼち、乗りに行ってみたいと思いました。

さ。

※雑感
山手線の線路を覗くと、ああレール幅が狭いなあといつも思うのです。これでよくあんなに多くの人を載せて運行できるのだと関心します。新幹線や京急、阪急などで採用されている標準軌は、1,435mmですからね。一方、都心では都電荒川線や東急世田谷線は、軌間が1,372mmです。
小柄な車両には、広いレールが担うのかもしれません。

※横浜市電保存館ホームページ
http://www.shiden.yokohama/

EMIRPs Today(2019-10-11)#1339 曼殊沙華

おはようございます、さいとうです。

同僚から「出身はハンノウです」と聞いたのは社会人に成りたてのころでした。恥ずかしなが初耳の地名で、どの県、いや海外か、なんて思ったのでした。

飯能の先に、曼殊沙華の群生地があると教えられ行ってみることにしました。地図を眺めると、多摩川沿いに遡上し福生のあたりを北に向かうと着きそう。道を引いてみると60キロ、往復120キロですから昼過ぎには戻れる算段です。

曼殊沙華は、彼岸花とも呼ばれ、秋分の日あたりに咲くことで知られます。群生地は飯能駅から北に数キロの隣町、日高市の巾着田というところです。川がうねり形成された河原が囲む丸い平地が巾着のような形をしているため巾着田と呼ばれるようになったのだそう。

いつしか流れ着いた曼殊沙華が花を咲かせるようになり、その後地元の方が整備を進められ、今では500万本が咲くようになりました。

夜明けとともに出発し、とことこ走ること3時間、8時半頃に到着しました。今季の公開催事の最終日であり、すでに最盛期を過ぎているはずなのですが、それでも一面に真っ赤な絨毯が敷かれたようで、妖しく揺れていました。

曼殊沙華はサンスクリット語の「マンジュシャカ」で赤いことを表すそう。仏教では天界の花とされます。曼殊沙華には毒がありますが水に晒すとその毒は抜けるため、良質な澱粉をもつ球根は飢饉を救う貴重な食材でもある。

開花時期には葉をつけていない草花です。しゅっと立ち上がる細い茎の先に、打上花火が弾けたように赤く細い花びらを拡げる。花を咲かせる自らの使命に真っ直ぐで迷いないその姿勢に、本質を大切にするべきだと教えられました。

それにしても、せっかくの飯能は通り過ぎただけでした。どうも遠い町です。来年は曼殊沙華の最盛期に来てみよう、飯能も散策することにしよう。

さ。

※雑感
さて、台風19号が近づいてきていますね。交通関係の計画運休も発表されています。お仕事の方も、お休みのかたも、安全にお過ごしくださいませ。

EMIRPs Today(2019-10-07)#1335 東京最大の牧場ジェラート

おはようございます、さいとうです。

「ダブル、カップで」、夏を思い出すような週末の暑さ。立寄ったのはジェラート屋さん、奥には牛舎が見えていました。

最近、美味しいジェラートが増えたように思います。知人が紹介してくれたふなばしアンデルセン公園のジェラートは好みだし、聖蹟桜ヶ丘の近くのジェラート店も、近くに行ったらつい立寄ります。

週末に食べたのは、西多摩郡瑞穂町にあるジェラート屋さんでした。昨年開業したそうで、外観もひと目でわかるまだまだ真新しい設え、店内に十数席、屋外の席を合わせるとその倍以上の人は座れそうです。お客さんがひっきりなしにやってくるので、注文は行列になっていました。

牛舎が見えているのに、いわゆる酪農っぽい匂いがしないのは不思議でした。建屋があるだけで乳牛は別のところで飼育されているのかなと思ったのですが「そこに、120頭ほどいますよ」と店の方が教えてくれました。

創業70年を超えるその牧場の120頭の規模は、東京で最大。牛乳パックの側面に縦書きで「東京牛乳」と記して出荷されている産地ブランドを支える生産者のひとつ。生乳は、24時間稼働する搾乳ロボにより自動化されて搾られるそう。

カップを受取りました。外の席で風にあたりながらいただくことにしました。おすすめの苺ミルクは、新鮮な生乳がもつ特有の甘さが爽やかでした。

牛舎の奥には、奥多摩や秩父の山並みがすぐ近くに見えました。
そよ風に載ってきたのは、秋草の香りでした。

さ。

※雑感
自転車で走っていると、農業や酪農、漁業などの匂いを直に感じます。
その土地が何年培ってきた土や草木の香りも混ざっているのかもしれません。
匂いで地域を感じることも、楽しみの一つです。
ジェラートカップがなんとも愛らしい様子でした。

EMIRPs Today(2019-10-03)#1333 名残りの露草

おはようございます、さいとうです。

高圧水を使って玄関周りの掃除をしました。あの黄色いマシンは強力です。剃刀で髭を剃り落とすようにするすると、積年の染みや汚れが飛んでいきました。

玄関脇にある室外設備保守用の小石敷に、露草(ツユクサ)が咲いていました。もう十月、気温も下がり始めたのですからきっと今季の最後の花なのでしょう。青紫色の対の花びらの先に黄色と白の蕊(しべ)をもつ、一日限りの可憐な花。

人差し指の爪ほどの大きさの花ですから、普段は遠目で眺める程度ですが、あらためて近くで見ると、特徴的な形状をしていることがわかります。

花びらは全部で3枚、花のイメージを特徴づけているのは大きい2枚です。青紫色で上部にありミッキーの耳のように対で開く花びらがそれです。もう一枚、別に白く小さい花びら一枚が下方に寄り添います。

蕊(しべ)は、7個もあります。雄しべが6個に、雌しべが1個。花の中央に位置し黄色い花粉を携える4本が雄しべかと思っていましたが、アルプホルンのように下に長く伸びる2本も雄しべだそう。雌しべは小さくて見えにくい。

万葉集にも詠われ、古来から親しまれる一年草。その一日限りの花の様子から人生の機微や恋心と重ね合わせて親しまれたのでしょう。

その露草の花言葉は、「変わらぬ思い」。梅や桜のように艶やかに咲くわけでもなく、菖蒲や蓮、菊のように派手な容姿でもないけれど、毎年毎年、必ず同じように可憐な姿をみせてくるのです。

この露草も、また来年、ここに姿を見せてくれることでしょう。
嗚呼、露草のような生き方も良いものだと思うのです。

さ。

EMIRPs Today(2019-09-30)#1312-1330 2019年9月配信分

EMIRPs Todayに毎朝おつき合いをいただき、誠にありがとうございます。

時おり登場する自転車は、再開してから彼是、二年半がたちました。とことことマイペースで乗り始めて、30数年のブランクを楽しんでいます。

十代の頃に乗っていたロードレーサーは、10キロ弱の重さでした。それでも、クロモリ鋼のフレームはママチャリよりも随分と軽いものでした。30年の間に、素材は鉄からカーボン主流となり現在の愛車は8キロほどです。わずか2キロほどですが20%近くも軽くなると、手で持ってもわかります。

ところが皮肉なもので、この35年の間に、体重は当時よりも30%近くも増えていたのでした。

さて、二年半の体当たり実験の結果はどうなったのか。

全身にくまなく付いてた30%近い増量分はとれたようでした。そんな余計なものは、大半がお腹周りばかりかと思っていたのですが、靴も手袋もぶかぶかになり、ヘルメットも二サイズ小さくなりました。まるで、着ぐるみを脱いだような感じです。

stravaという自転車やランのSNSを眺めていて気が付きました。目黒通に山手通りから目黒駅に向かう権之助坂という上りがあるのですが、再開した二年半前の半分くらいの時間で登れるようになっていました。

身軽になることは大切なようです。

さ。

20190902 1312 QOLの基盤は頭上に
20190903 1313 秋サンマ、常はドンキ
20190904 1314 駅弁が古典になる日
20190905 1315 現金は安いか高いか
20190906 1316 試飲会の季節

20190909 1317 台風にも勝る葉
20190910 1318 パールの輝きを知る
20190911 1319 リーダーの使命
20190912 1320 サンマの気持ち
20190913 1321 月に照らされたい

20190917 1322 いくつになっても
20190918 1323 そのままドライブ
20190919 1324 柿の葉ずしの仕掛け
20190920 1325 口角をあげてみたけど

20190924 1326 仏足石の足跡
20190925 1327 貿易
20190926 1328 ディープフェイク
20190927 1329 増税と物価と還元と

20190930 1330 赤白の大金星に震えた

 

EMIRPs Today(2019-09-24)#1326 仏足石の足跡

おはようございます、さいとうです。

近くの密寺に古い仏足石(ぶっそくせき)があると教えてもらいました。蝉がやんやと煩い頃でした。地図でみると歩いても二十分ほどのところです。

仏足石は、釈迦の足あとを彫り込んである石のことです。仏教がまだ新興だった紀元前四世紀ころには、仏像を造って信仰するのではなく、仏足石を対象としたそう。

調べてみると、世田谷区には三つの仏足石がありました。

ひとつは、等々力渓谷を多摩川に向かって下ったあたりにある善養密寺にあり、もうひとつもすぐ近くで九品仏駅前にある浄真寺の本堂脇にあり、そして残る一つは、千歳烏山駅から十分ほど北に向かったあたりにある多聞院にあります。

教えてもらった、善養密寺にあるものは一世紀ごろの造りで最も古いよう。早速、見に行ってみました。

等々力渓谷を下りていくと多摩川に沿うように流れる丸子川に架かる小さい橋。その先に密寺はありました。境内には不思議な石像が所狭しと置かれており、ガネーシャがあったり、河童がいたり、右くらま、左きふねと書かれた道標があったりと、密寺らしい怪しさがぷんぷん漂っていました。

このワンダーランド境内をぐるぐると三周ほどしたのですが、結局、仏足石を見つけることはできませんでした。朝早かったせいか、寺院内には人気もなく、場所を尋ねる機会もない。もう一度、日を改めて来てみることにしました。

小橋を渡ると現世に戻ってきたような気持ちになるから、不思議なものです。

気がつくと、手足を何カ所も蚊に刺されていました。
次は、もう少し秋が深まってからにしよう。

さ。

※雑感
仏足石は、奈良の薬師寺にあるものが日本最古だそうですが、今、住んでいる近くにいくつもあるとはまったく思いもしませんでした。

九品仏浄真寺にあるものは、江戸時代に建石されたもので、両足が整えられた足あと型になっていました。本堂のすぐ右手にありお参りする方もちらほら。賽銭も投じられていました。
烏山の多聞院にあるものは、年代は定かではありませんが、まったく足の形はありあせん。50センチ四方くらいの石が縦に二つに分かれていて、要するに片足あとが長方形。表面には、花模様や亀などの動物と思われる文様が刻まれていました。仏足だと教わらないとまったく見えませんが、ただただ美しい。

東京には他にもいくつもあるようです。東京タワー近くの港区増上寺の境内や選挙候補者に人気のある江戸川区の唐泉寺にもある。仏足石の足跡を巡る冒険は、しばらく続きそうです。

EMIRPs Today(2019-09-20)#1325 口角をあげてみたけど

おはようございます、さいとうです。

そのあたりは街灯が届かないせいか、時刻表の数字も良く見えません。スマホをかざしてバスの到着を確認すると、あと3,4分のようでした。

闇の中、地面近くで赤い光が上下しながら近づいてきました。隣にはぼんやりと人影が見えます。ああ、犬のお散歩をしているのかな、小型犬のよう。

「こ・ん・に・ち・は」、不意打ちをくらいました。幼子があいさつをしてくれました。薄暗い街灯にようやく照らされたのは、まだ、幼稚園に通う前のような小さい子供でした。

歩きながら、ゆっくりと首を回してぼくの顔を追いかけてきます。そうだ、「こんにちは」、あいさつを返しました、満面の笑みに変わりました。ところが、その笑顔が一瞬で曇ってしまいました。

ああ、薄暗い中で髭面の男が立っていたから、怖かったのかもしれない。子供に怖い記憶を植え付けるのは本望ではないぞ。まったく不慣れながら、精一杯に口角をあげて、世界で一番優しいおじさん風の笑みを作ってみました。

子供はぷんと顔を背けて母親を見上げました。あっ、しまった。ぼくの笑顔の下手さ加減といったら、まったく、初めて巻いた卵焼きみたいなものだから、変顔を通りこして不気味だったのか。なんだか、悪いことをしてしまった。

子供が立ち止まり、ふたたび頭を回してこっちを覗き上げてきました。おや、振り向いたその顔には先ほどの明るい笑みが戻っていました。「こ・ん・ば・ん・は」、少し高くて少し大きい声でした。

そっか、もう暗いのだから夜の挨拶が正しいと思って、言い直したのだね。遠い未来まで見通せそうな丸い目が二つ、じっとこちらを見つめていました。

「こん、ばん、は」、ゆっくりとあいさつを返しました。
今年一番の優しい声を出してみました。

さ。

※雑感
連休の月曜日は秋分の日、この週末はお彼岸になりますね。またまた、大型の台風が発生したとの天気予報。17号だそう。昨今の自然の脅威、ただただ穏やかに収まってくれることを願います。ぼくは、書斎で待つあれこれに、順番に手を付けようかなと思います。

EMIRPs Today(2019-09-17)#1322 いくつになっても


おはようございます、さいとうです。

本日、55歳になりました。

EMIRPs Todayコラムを日刊で書き始めたのは、50歳になった九月ですから、丸5年ほどひたひたと書き続けてきたことになります。それまで不定期に記していたエマープ風味という社内報を、EMIRPs Todayと改めて始めました。

みなさまには、毎朝、おつき合いいただき深く感謝いたします。

小さい頃から文章を書くのが好きでした。小説や詩歌のような創作が得意なわけでも、論文や論説をまとめて主張することに秀でているわけでもなく、その時々に感じたことや考えたことを文章に興すのが性分にあったのでしょう。

頭の中の記憶では、自分自身でしか出し入れできないし、写真や動画に記録して伝えるとその周辺にある情報も同時に映すことになるので、都合の良い場合もあるのですが、自分の真意を伝えるには違和感を覚えたりします。

文字や言葉を選び、文章をを組み立てて内面の想いを伝える随想もあれは、世の中の出来事それは社会や経済の動きについて齋藤自身がどう考えるのかを構成した随筆のようなものもあり様々ですが、毎日、毎朝、その時に感じたことを最も心地良く素直に表現できるのは、ぼくの場合、文章なのです。

誕生日を迎えた朝、これまで育てていただいた社会や周りの方々、先輩後輩、同僚、友人や親族に対する想いで満たされました。感謝。

伊能忠敬は、55歳から日本地図の測量を開始したそうです。最初の観測は、蝦夷だったそうで1800年の9月17日まで滞在し翌9月18日に蝦夷を離れて、その後の幾次にもわたる17年間の測量の旅が始まったのでした。

さて、齋藤寛は何ができるのだろうか。
未来の社会のために、ほんの小さなことでも残せていければと思うのです。

55歳の誕生日の朝に、東京にて。

さ。

EMIRPs Today(2019-09-05)#1315 現金は安いか高いか

おはようございます、さいとうです。

カタンッ。書斎でパソコンに向かっていると郵便函が鳴りました。最近は、宅配もサイン不要のポスト投函が増えたように思います。

増税開始を前に、ヤマトが個人向け宅配便の新料金を発表しました。キャッシュレス決済に比して、現金払いは10円単位で端数分を切上げ。現金を使う方が高い、実質値上げになる体系を提起しています。

良いことだと思うのです。
宅配便等の荷物の受渡しで受領者の確認署名を必要とするルールは、投函配送などで随分と緩和されてきたわけですが、それでもコストのかかる配送工程はいくらでも残っています。

ちょっとした買物でも店頭に行くよりもネット通販で済ませる場面が増えましたが、注文をなるべくまとめて配送機会を減らすとか、投函受取できるようにするとか、対面を前提とする受取人払い使わないとか、生活者目線での小さな気遣いは心掛けています。

一方、決済に関連する運用コストは事業者内で発生する業務も多く、利用者である一般生活者からはなかなか見えにくいものですが、キャッシュレス決済へと移行すると、現金管理のわずらわしさだけでなく業務負荷も随分と減ることは間違いないでしょう。

先日、あるレストランがカード決済の場合はコース料金が高くなるとの話を受けましたが、違和感を感じました。日銭商売をされていて、なおかつ仕入れ調達代金などでまだまだ現金決済が幅を利かせている業界ならではの考えでしょうが、それもあと少しの日々でしょう。

10円玉を握りしめた公衆電話が、いつしかテレフォンカード式となりあれよあれよという間に公衆電話が撤去されて行きました。電話ボックスなんて、ブラウン管テレビ並みの珍しさですから。

小売店や飲食店から、現金レジが消える日も近い。

さ。

※雑感
会社を始めたころにいくつか試してみたかったことがあります。
その一つが、企業内で扱う現金を排除することがあります。20年ほど基本方針を貫いていますが、業務負荷が少ないことは間違いありませんし、むしろ当社のスタッフは事務所内で現金を扱うことに違和感を感じるように思います。

EMIRPs Today(2019-08-30)#1291-1311 2019年8月配信分


EMIRPs Todayに毎朝おつき合いをいただき、誠にありがとうございます。

先日、高級キッチンを見せてもらいました。

天地の壁には冷蔵庫や冷凍庫にワインセラー、スチームオーブンなどが並びビルトインされ、広々としたアイランドには平滑さを繋いだクックトップの調理ヒーターが組み込まれていました。

キッチン、台所という言葉では表すことができない機能が集約されている。使われる面材も、塗装の仕上げも、意匠統制の取られた空間は単にスタイリッシュというだけではなく、洗練された清潔さに溢れています。

その空間に居るだけで、豊かな感じがするのです。

これからの時代、高級車を買うよりも、高級キッチンを設えた方が、クオリティライフの魅力が高まるのかもしれないと感じました。

さ。

20190801 1291 今夏は17往復限り
20190802 1292 朝顔、おっきいぞ

20190805 1293 電話の桁が足りないとき
20190806 1294 もぐもぐ、タラタラ
20190807 1295 鼻の高低を感じるには
20190808 1296 二の手前に、一の追加
20190809 1297 水筒を煽り一息

20190813 1298 岬のカフェ
20190814 1299 きんきんの車内にて
20190815 1300 台風を駆るヒーロー
20190816 1301 ザクロが生っている

20190819 1302 器を整えて
20190820 1303 模と偽の一線は見えるのか
20190821 1304 マチアルキの支え
20190822 1305 棒受け網漁の狙う先
20190823 1306 「未来の東京」の自分事

20190826 1307 自然体の薪窯
20190827 1308 運転をレンチン並みに
20190828 1309 就活の摂理
20190829 1310 トリッキーな信号
20190830 1311 好きなことを鍵に

EMIRPs Today(2019-08-13)#1298 岬のカフェ

おはようございます、さいとうです。

牛歩の台風に天気図と睨めっこしながら、夏の朝活を企みました。
観音崎の近く、朝8時に開くカフェに一番乗りを目指して出発しました。

明るくなり始めた頃に起きだして支度し、5時15分過ぎに走り出しました。目指すのは55キロ先です。平均時速20キロならばちょうど良い計算、信号などを考えると時速30キロ余りで巡行する加減が目安でしょう。

この時間は陽射しは穏やかですが、空気は夏季特有の水分を含んだ重い感じ。走っていると風で涼むものの、赤信号で止まる度に汗が噴き出てきました。

どうぞ、マダムが扉を開けて迎え入れてくれました。一番に到着しました。よく効いた冷房が熱気を奪ってくれました、水風呂に飛び込んだようでした。おすすめの「パンケーキのセット」をいただくことにしました。

手のひら大のパンケーキが三枚、幾枚も重なった生ハムがレタスとともに。アイスかと思ったのはマスカルポーネ、いちごジャムが添えられていました濃い目でお願いしたコーヒーは、マグカップになみなみと注がれました。

生ハムは燻香がしました。北伊のスペック、今朝、切り始めたばかりなのよ。レタスに絡められたドレッシングが身体に浸みました。ホワイトバルサミコとオリーブオイルだけなのよ。パンケーキはフォーク要らずのほわほわでした。マダムが焼いてくれたそれは、形も焼き色加減も自然体でした。

嗚呼、ぼくのプチ夏休み。素敵なカフェに出会うことができました。

さて、お盆になりましたね。
お休みの方も、お仕事の方も、素敵な体験がありますように。

さ。

EMIRPs Today(2019-08-07)#1295 鼻の高低を感じるには

おはようございます、さいとうです。

朝、歯を磨きながら、何度も洗面鏡を覗き込んでしまいました。
右を向いて、左を向いて、鼻の形をしげしげと眺めてしまいました。

8月7日は「鼻の日」だそう。顔のパーツのいくつかは記念日に定められています。3月3日の「耳の日」や10月10日の「目の愛護デー」は良く知られています。

制定された順番に並べると次のようです。昭和時代に、目、耳、鼻の順に定められていき、平成に入ってから歯の日が定められました。人が日々の生活を営む上で、社会的関心の集まった部位の順番を表しているのかもしれません。

1931年 目の愛護デー(10月10日)/厚生省(中央盲人福祉協会)注
1956年 耳の日(3月3日)/耳鼻咽喉学会
1961年 鼻の日(8月7日)/耳鼻咽喉学会
1993年 いい歯の日(11月8日)、よい歯の日(4月18日)/日本歯科医師会
注記)中央盲人福祉協会による視力保存デーを後に厚生省が目の愛護デーに改称。

鼻の日が昭和30年代に既に記念日制定されており、鼻にまつわる病気や健康維持について意識されはじめていたと知ると、その後のアレルギー性鼻炎や花粉症の罹患拡散も予見されていたのかと感じます。

子供の頃、酷いアレルギー性鼻炎に悩まされ、毎朝、鏡を覗き込んで鼻をどうしたものかと眺めました。そのたびに、鼻が高い、低いとか言うけれど、水平に向かう横向きに高低を表現することに違和感を持ったものでした。だって、高い、低いは垂直方向の大きさのことだぞ。幼心のもやもや。

さて、今朝、久しぶりに鏡と睨めっこをした理由は、今さらながらですが、鼻の高い、低いを感じたからです。

正面から見たらぺったんこ、斜めを向き横目で初めて高さが知れる、拙鼻。

ものごとの状態を知るためには、真正面から正論を振りかざすだけでなく、多少の面倒や工夫をしてでも観察することが必要だと鼻に教わりました。

さ。

EMIRPs Today(2019-08-02)#1292 朝顔、おっきいぞ

おはようございます、さいとうです。

友人から、ずっと育てている朝顔が今夏も咲き始めたと聞きました。毎年毎年、休むことなく朝顔を咲かせる暮らしっぷりに脱帽です。

朝顔と言えば、東京では7月上旬に開催される入谷の朝顔市などが有名ですね。そして、夏が真っ盛りになるこの頃に開催されるのが、朝顔展です。

有名なのは、日比谷公園で催されている「超大輪朝顔展示会」でしょう。当展示会は明治40年に設立の東京朝顔研究会により開かれ、約1000輪の朝顔が並びます。今年は7月28日(日)から日比谷公園常設陳列場で開催中です。

普通の朝顔は直径が5センチから8センチ程度でたまに10センチを超える花が咲くと大きいなあと思います。ところが、この大輪朝顔は上手に育てられると直径が20センチを越えてくると言います。

平成28年には「浦霞5613」という朝顔が最大輪径の記録を更新しています。なんと、25.5センチを記録したそうです。一般にパン皿の直径が15-16センチ、メインディッシュ用プレートの大きいものが25-26センチほどです。

この朝顔「浦霞5613」がいかに「超大輪」なのかがよくわかります。メイちゃんがいたなら「こーんなに大きいの」とでも言うのかな。

さて、今年の大輪朝顔展は、明日8月3日(土)までだそう。東京朝顔研究会によると、朝顔の見頃は9時から10時ごろとのこと。

明日、早起きをして観に行ってみるのはいかがでしょう。

さ。